用語詳細一覧
※一部、日本液体清澄化技術工業会(LFPI)ホームページの用語集から引用。
http://www.lfpi.org
使用時の問題
膨潤
素材(ろ材)が溶剤等の流体を吸収し、膨張した状態のこと。
マイクロバブル
液体中に含まれる直径約1~100μmの微細な気泡。ろ過液に含まれていると、ろ材のエアロックや塗工不良等を生じる場合がある。
素材の脱落
高圧力や素材劣化によって、フィルターの素材自体がろ過後の液体に混入してしまうこと。一般的な樹脂製フィルターは繊維同士が絡まっているだけで交点が融着していないため、素材の脱落が起こりやすい。JNCフィルターの製品は繊維の交点が強固に熱溶着している素材を用いていることで、低脱落を実現している。
目開き
高圧力や素材劣化によってフィルターの孔径が広がってしまい、ろ過精度が低下してしまうこと。JNCフィルターの製品は繊維の交点が強固に熱溶着している複合繊維を用いることで、目開きの発生を抑えている。
コンパクション
通液時の圧力により、フィルターが圧縮し変形する現象。(関連ページ:高粘度液のろ過にも対応)
性能
FDA
米国食品・医薬品局。JNCフィルターの製品では、CP、BMが取得している。
LRV
対数減菌率(Logarithmic Reduction Value)。フィルターの除菌性能を示す数値表現。LRV7はフィルターに10の7乗個の菌を流しても、2次側に漏洩する菌が1個以下であることを示す。
圧力損失
フィルター等の1次(入口)側圧力と2次(出口)側圧力の差。通液抵抗。
同義語:差圧。
アブソリュート
「絶対ろ過精度」を参照。
公称ろ過精度
メーカー各社が独自のテストにて規定したフィルターろ過精度の一つ。ろ過精度を示す表示孔径値の粒子捕集効率は絶対ろ過精度より低く、様々に規定されている。同義語:ノミナル(表示例:nom.〇〇μm)。
差圧
「圧力損失」を参照。
親水化処理
ポリオレフィン樹脂、フッ素系樹脂などの疎水性樹脂を素材とするろ材を、水や水溶液系薬品に使用する場合の事前処理。アルコール(IPA、エタノール)等の親水液を用いる。
水蒸気賦活法
活性炭の製造工程のうち、原料の炭素分と水蒸気を反応させ細孔(穴)を作る工程のこと。温度や時間を変えることで、さまざまな大きさの細孔(穴)を作ることができる。
疎水性
水をはじく性質。撥水性。疎水性の高い素材のフィルターで水ろ過を行う場合は、親水化処理が必要となる。
ディフュージョン試験
フィルター完全性試験のひとつ。濡れたメディアを拡散するエアー量で、完全性の合否を確認する試験。
バブルポイント試験
フィルター最大孔径を測定する試験。IPA等でフィルターを濡らし、気体の加圧によってフィルターの微細孔から液体が押し出された時の差圧を測定する。毛細管現象により孔径が大きいほど低圧で押し出される。フィルターの完全性を確認する試験法。
プレッシャーホールド試験
IPA等でフィルターを濡らしエアー等により加圧、バブルポイント以下の所定の圧(主に80%)で気体の供給を遮断し、所定の時間で降下する1次側圧力を圧力計で測定する試験法。フィルターの完全性を確認する試験法。ろ材に含浸している液体中を1次側から気体が拡散していくことで、1次側圧力が低下する。 ろ材の開口度も関係する。
分級
特定のサイズより大きな粒子あるいは小さな粒子を、効率的に分離する操作のこと。
β値
(粒子径xμm以上の入口側粒子数/粒子径xμm以上の出口側粒子数)の式で定義される、ある粒子径(xμm)以上の粒子すべての除去効率。
ろ過ライフ
フィルターが目詰まりし、所定の流量が取れなくなるまで、あるいは所定の圧力損失が生じるまでの時間、または処理量(捕捉量)のこと。使用条件により大きく変化する。一般的に流量を低く抑えた方が長くなる。推奨交換差圧は、0.15~0.2MPa程度が多い。
表面ろ過フィルター
粒子をフィルターの表面で捕捉するフィルターのこと。素材をプリーツ状に折り込み表面積を増やすことで、粒子の捕捉量を高める。一般的に、深層ろ過フィルターよりも、より高精度のろ過に優れている。
該当製品:ポーラスファイン
深層ろ過フィルター
粒子をフィルターの内部で捕捉するフィルターのこと。表面ろ過フィルターよりも1本あたりの粒子捕捉量が多く、コストパフォーマンスに優れる。
該当製品:CP、BM、VW、他
同義語:デプスタイプフィルター
ベントフィルター
タンクのベント部分に設置するフィルター。タンクに取り入れる空気の異物除去、除菌等の用途に用いる。
該当製品:BT
ろ過精度
フィルターを通すことにより除去できる粒子の大きさ。一般的に、「公称ろ過精度」「絶対ろ過精度」といった表現が使われるが、どちらも業界で統一された基準はなく、メーカー各社が独自のテストで規定した精度となる。
絶対ろ過精度
メーカー各社の独自のテストにて規定したフィルターろ過精度の一つ。一般的にろ過精度を示す表示孔径値の粒子を99%や99.9%以上捕集することを規定している。JNCフィルターでは表示孔径値の粒子に対して初期捕集効率99.9%以上を規定している。
同義語:アブソリュート(表示例:abs.〇〇μm)。
粒度分布
直径、質量、表面積、沈降速度などに基づく粒子の大きさの分布。たとえば、大きさとして粒子径(particle diameter)で考えるのが粒子径分布。
限外ろ過
ナノろ過と精密ろ過の間に位置し、通常、数1000~数10万の分子量の溶質、あるいは数nm~0.05μm程度の微粒子をろ過する範囲が該当する。ろ材には膜が用いられ、この用途に用いるフィルターをUFフィルターという。
ハウジング
サニタリーハウジング
一般的に組立、洗浄、フィルターの交換が容易なハウジングのこと。主に、精密ろ過、医療、食品分野に適している。
該当製品:KF
SUS304
ステンレス鋼材のうち、耐熱鋼として最も広く普及している鋼種のひとつ。食性、靭性、延性、加工性、溶接性に優れ、幅広い用途で使用される。
ロケーター
フィルターをハウジング内の適切な位置にセットするための部品のこと。DOEハウジングの片側閉止用部品。シールプレート。
センターポスト
ハウジング内のフィルター設置用支持棒。ロケーターの固定やフィルターの変形を防止する。
ペデスタル
ハウジングにフィルターを設置するための部品のこと。ロケーターと対で使用する。シール部品。ハウジング土台。
フィルター形状
CLEAL(クリアル)
JNCフィルター製フィルターの登録商標。
DOE(ダブルオープンエンド)
「ガスケットタイプ」を参照。
SOE(シングルオープンエンド)
フィルター片側端面がエンドキャップで閉止されているタイプ。同義語:エンドキャップタイプ、Oリングタイプ
アダプター
フィルターとハウジングを接続するもので、フィルターの端面形状のひとつ。同義語:差し込み式、ねじ込み式。エンドキャップタイプ、Oリングタイプ
ガスケットタイプ
薄板状のパッキンにより流体の漏れを止める形状のフィルター。端面に装着されている平パッキンをハウジングロケーターでシールする。フィルターの膨潤・収縮、ハウジングの熱膨張に追従させるために、バネを利用したスプリング付ロケーター方式のハウジングが推奨される。
同義語:DOE(ダブルオープンエンド)
端面形状
フィルターの端の形状。DOE(ダブルオープンエンド)とSOE(シングルオープンエンド)があり、SOEタイプは開放部側エンドキャップにOリングがついている
カートリッジフィルター
フィルターハウジング(ろ過器)において、フィルターが容易に脱着できる形状のフィルター。汎用的なカートリッジフィルターとして、主に円筒形状のタイプが使用されている。
密度勾配
フィルターの外側と内側とのあいだにある、孔の多少・大小の差。密度勾配があることでフィルターの外側では大きな粒子、内側では小さな粒子を効率よく捕集することができ、ろ過ライフの長期化につながる。ろ材繊維量の差。孔径変化。繊維径勾配。
該当製品:BM
デプスタイプフィルター
「深層ろ過フィルター」を参照。
エンドキャップ
フィルターの端面形状のひとつ。フィルター端面に装着されるシール部材の総称。Oリングアダプター。ガスケット(平パッキン)タイプもある。
同義語:シングルオープンエンド
ES繊維
JNCフィルター株式会社の親会社であるJNC株式会社が開発した、ポリオレフィン複合繊維。繊維と繊維の各交点が強固に熱接着しているため、ES繊維をろ材としたフィルターは高寿命、高流量、高耐圧、高ろ過精度、高回収率、低ろ材脱離等の優れた特徴を有する。
該当製品:CP、GF
メルトブロータイプ
フィルターの製造工程において、原料樹脂投入から原綿の工程を経ずに直接生成させた不織布を、ろ材に用いているフィルターのこと。繊維径の調整が可能なため、多様なろ過精度を実現できる。ノンオイル製造のため、初期通水時の泡立ちが少ない特徴を有する。
該当製品:BM、CP2
サポート材
ろ材(メディア層)が薄いときなどに、折加工ダメージやプリーツ加工の折山の密着を防ぐ目的で使用するスペーサーのこと。プリーツフィルター等で使用される。
ポリエステル
ポリエステルとは、エステル結合を持った合成樹脂の総称で、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などがある。
機械的性質、特に寸法安定性が優れており、耐溶剤性と耐熱性を有する。但し、酸・アルカリ及び熱水の使用では加水分解に注意する必要がある。
ポリオレフィン
ポリオレフィンとは、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの総称で、酸・アルカリへの耐久性に優れている。水系で連続使用の場合は、80℃以下を目安とする。
用途
プレフィルター
目詰まりしやすいフィルターのろ過寿命を延ばすために、その前工程で使用されるフィルターのこと。一般的に、デプスタイプのフィルターが使用される。
ファイナルフィルター
各種流体の最終品質を保証するため、プレフィルターの後工程に使用するフィルターのこと。一般的に、サーフェスタイプのフィルターが使用される。
チェックフィルター
食品、医療、医薬、半導体製造用で流体が清澄になっていても、万が一の微生物などによる汚染の危険を考慮して設置されるフィルターのこと。一般的に、ファイナルフィルターのさらに後工程において、サーフェスタイプのフィルターが使用される。